不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

不動産の価格はどのように決まるか2(私の考え)

前回、不動産の価格というのは

「需要と供給」

によって決まっているのだと述べました。

 

私たちの身の回りにある財の価格は、たいてい需要と供給によって決まっていますので、それほど不思議なことでもないのですが、不動産の価格は特別扱いを受けておりまして、不動産鑑定士が鑑定評価を行って、地価公示という形で大々的に発表されています。

 

それはさておき。

地価が上がったり下がったりする要因について、もう少し突っ込んでみていきたいと思います。

 

地価が上がる=需要が増える・供給が減る

地価が下がる=需要が減る・供給が増える

ということでしょうか。

人口減少に悩む過疎地では、たしかに年々需要が減っていくでしょう。

そうではなく、今年の地価公示では、銀座の地価も下がっています。

銀座の土地は誰だって欲しいと思います。

つまり需要が減ったわけでもないですし、ぼこぼこ土地が売りに出ているわけでもないです。

 

つまり、私が言いたいのは、需要のある土地は、常に需要があるのです。

では、なぜ地価が下がるのか。

それは、その価格で買える人がいないから。

 

ここからは私見です。

 

基本的に、不動産には需要があります。

買えるものなら欲しいものです。

ですから、買えるうちは地価が上がります。買えなくなると地価は下がります。

誰が決めているか。

金融機関です。

不動産をキャッシュで買える人は、市場においては一握りの限られた人たちで、たいていは借り入れをして購入します。

ですから、買えるか買えないかは、金融機関が貸してくれるか貸してくれないかに懸かっているわけです。

 

ですから、不動産の価格は、銀行の融資姿勢に大いに関係します。

長期的にみますと、金融機関の不動産向け融資残高、あるいは新規融資高と地価動向には関連性がみてとれるのではないでしょうか。

 

以上が、私が精いっぱい要約した不動産価格形成過程です。

 

不動産の価格はどのように決まるか1(私の考え)

スケールの大きなタイトルを掲げてしまいました。

こんなテーマ、分厚い本1冊分でも足りません。

私が考える不動産価格形成理論を、極限まで要約したいと思います。

 

先日、地価公示が発表されまして、この1年、地価が上がったとか下がったとか、少しだけ話題になっています。

同じ不動産なのに価格が上がったり下がったり。

なぜでしょうか。

 

不動産鑑定評価基準には、第4章「不動産の価格に関する諸原則」として、価格形成過程にみられる11の法則性が列挙されています。

ご紹介しますと、

〇需要と供給の原則

〇変動の原則

〇代替の原則

〇最有効使用の原則

〇均衡の原則

〇収益逓増及び逓減の原則

〇収益配分の原則

〇寄与の原則

〇適合の原則

〇競争の原則

〇予測の原則

です。

受験生のみなさんは当然のように、この11の原則とその内容を丸暗記しています。

 

もちろん、不動産の価格形成過程において、これらの原則がかかわってきますが、究極に要約すると、

 

不動産の価格は「需要と供給」によって決まります。

 

既に400字以上書いていますが、要約すると、上の1行になります。

次回、もう少し突っ込んだ私見を述べていきたいと思います。

 

地価公示と相続税路線価

前回、地価公示について書きました。

日々変動する土地価格を定点観測するのが地価公示で、毎年1月1日時点の価格が、3月下旬に発表されます。

 

7月になりますと、相続税路線価が発表されます。

このときにも、地価が上がったとか下がったとか、新聞に載ります。

しかしながら、地価公示から遅れて、7月に発表される相続税路線価、実は1月1日時点の価格をベースにしています。

ですから、相続税路線価として発表される価格は、地価公示と同じ1月1日時点の価格ですので、地価が上がったのか下がったのかは、基本的には3月の地価公示の発表と同じ内容をなぞるだけになります。

 

報道に取り上げていただくことは、ありがたいことですが、一喜一憂することはありません。地価公示のおさらいと思って見てください。

 

ちなみに、相続税路線価のベースとなる価格も不動産鑑定士が評価しているものです。

社会的な活躍の場がある不動産鑑定士という職業も、ぜひ覚えてください。

令和3年 地価公示が発表されました

土地の価格は日々変動しています。

そこで、年に一度、1月1日時点の土地の価格を定点観測していくのが地価公示です。

例年3月下旬に発表されます。

今年は地価が下落に転じたと報じられました。

でも、あくまで平均変動率です。

ここ福岡県の地価は上昇というふうに整理されています。

コロナ禍でも上昇。

商業地については、全国の上昇率トップ10のうち、8地点が福岡県です。

ほかに元気がいいのが北海道と宮城県

たしかに、コロナ禍においても、福岡県の土地取引は相変わらず好調で、価格も高水準を維持しています。

ちなみに、地価公示のお仕事を担っているのは不動産鑑定士です。

社会的な活躍の場がある不動産鑑定士というお仕事を、まずは知ってください。

その中から、不動産鑑定士を目指したいという方が出てきてくれると嬉しいです。

水の上の建物 とある町の風景

私、もう、こういう建物を見ると興奮が止まりません。

いちおう、場所とか特定されるとまずいのかな。

九州の、とある町の風景としておきます。

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水の上の建物

 

不動産鑑定士の発信力

不動産鑑定士の認知度が低いのです。
一般の方で、弁護士や税理士という職業を知らない人はいないでしょう。
士業仲間の中で、公認会計士司法書士という職業を知らない人はいないでしょう。
ところが、たとえば、これから資格を取得しようと意気込んだ学生さんがいたとして、
不動産鑑定士という職業を知っているでしょうか。
学生さんに知られていないから、受験生が増えないのです。

不動産鑑定士という職業に魅力がないとは、決して思いません。
むしろ魅力的な職業だと思います。

それでも知られていないのは、ひとえに不動産鑑定士の発信力不足です。

世間に向けて何かを発信している不動産鑑定士がどれほどいるでしょうか。

もっともっと不動産鑑定士を認知してもらえるように、その魅力を発信してまいります。
今はこのブログだけですけど、いずれはセミナー活動などできればと思っております。

限定価格とは 相続税評価における貸宅地

以前、相続税評価上の底地(貸宅地)の評価はおかしい

と申し上げまして、その中で使いました「限定価格」という概念を説明させていただきます。

これは不動産鑑定評価基準に記載されている概念でして、

「限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産
との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場
概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相
対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正
に表示する価格をいう。」

と定義されております。

「隣の土地は倍出してでも買え」と言われるのも、限定価格の概念だと思います。

 

不動産鑑定評価では、第三者間取引における価格である「正常価格」のほかに、このような「限定価格」を求める場合があります。

もちろん、「正常価格」と「限定価格」では結果が異なるのが普通です。

 

どのように限定価格を求めるかと申しますと、たとえば隣の土地と自分の土地を合体させた場合に、どのくらいお得なのか、隣の土地単体の場合、自分の土地単体の場合と比べてどのくらいお得なのか、と調べていって結論を出すわけです。

 

不動産鑑定評価基準では、限定価格を求める場合を例示列挙していますが、その(1)が「借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合」なのです。

まさに、相続税評価上、求められる貸宅地の価格は限定価格なのです。

詳しくは、「貸宅地(底地)の価格」の回をご覧ください。