不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

相談案件 相続税評価におけるボロボロな建物

以前にも書いたかも知れませんが、不動産鑑定士という職業を理解していただくために大切なことですので、何度も書きますが。

 

「不動産の経済価値を判断する」のは、なにも不動産鑑定士に限ったことではありません。

不動産にかかわるすべての方が、何らかの価値判断を下していると思います。

 

では、不動産鑑定士は何をする人かと言いますと、極端な言い方になるかも知れませんが、それを公に示すためにハンコを押す人、とでも言いましょうか。

誰かに何かを主張する際の「虎の威」なわけです。

 

そこで、われわれ不動産鑑定士が思っているよりも、世の中の方は不動産鑑定士にうまく乗りこなす方が多くいらっしゃいます。

 

税理士さんはその中でもピカイチのセンスをお持ちです。

 

こんなご相談を受けました。

相続した建物がボロボロなんだけど、財産評価基本通達どおりに評価すると、けっこうな評価額になってしまう。

相続税評価では、建物価格は固定資産税評価額ベースで評価しますが、固定資産税評価は、建物の残価率を20%としているので、どんなにボロボロでもけっこうな価格がつきます。)

でも、不動産市場ではそんな価格で売れないよね。

だから、そんな価格では売れないって書いて。

 

相続税評価ですので、相続税法に則って評価するのが原則で、特段の事情があればいろいろと考えてくれるみたいですけど、相続税法の枠組みを外れたところでどんなに主張しても、税務署がダメと言えばダメなんです。

 

ですから、こういうときは、税務署から突っ込まれたら税理士さんが対応するし、もちろん100%大丈夫というわけではないけれども、成功すれば税金が安くなります、という提案を、税理士さんがクライアントに提案するわけです。

今は税理士さんも、クライアントに提案して差別化を図らないといけないので、たいへんです。

われわれ不動産鑑定士は、税理士さんとクライアントに宛てて意見書を提出します。

その意見を参考に、税理士さんが申告する、という流れになります。

税理士さんのお知恵には感服するばかりです。