最もシンプルな不動産鑑定評価の活用事例です。
以前、ボロボロの建物の価格を固定資産税評価額をもとに申告するのが不本意なので、不動産鑑定士の意見をつけた、という事例をご紹介しました。
要するに、不動産の適正価格を誰かに示すために活用されるのが不動産鑑定評価ですので、不動産鑑定評価額をもって相続税の申告を行う、というのは理にかなっています。
とは言うものの、ハードルがふたつ。
つまり、土地代に関しては、相続税評価は時価より低くなるように、そもそも設定されている、ということです。
ふたつめは、国税庁が独自の評価基準である財産評価基本通達なるものをもっている、ということです。
この、ふたつめの論点については、国税不服審判所までもつれると、課税の公平性などという理屈になっていないような理屈で、課税庁側が勝つことが多いようです。
しかしながら、不動産鑑定士は、適正価格を求めるプロとして国からライセンスをもらっている専門家です。
これを覆すには、たとえ国家権力たる国税庁でも、それなりに苦労することでしょう。
ちなみに私は、きわめて市場性が低く、とうてい相続税評価額では売却がかなわない、とある農家集落内の邸宅について、相続税の申告のための不動産鑑定評価をさせていただいたことがあります。
もちろん、課税庁からの反論はありませんでした。
相続税の申告をされている税理士の先生も、ぜひ参考にしてください。