M&Aに伴いまして、保有不動産の評価をさせていただく機会がございます。
たいていの場合、会社の帳簿に載っている不動産の簿価と、時価との間には、大きな隔たりがあるものです。
M&Aを行うにあたって、会社の純資産を把握する必要があるでしょうから、われわれ不動産鑑定士が評価させていただくことになります。
総じて、M&Aの買い側が、買収価格を下げる口実にするために評価をとるケースが多いでしょうか。
買収価格について合意している場合には、わざわざ評価をとらなくても、買収は成立します。
(もちろん、経営状況を把握するために、評価をとることが望ましいのは言うまでもありません)
ところが、M&Aで会社を取得する場合、会社の株を取得する方法ですと、不動産登記上、所有者の名義は変わらないことになります。
でも、不動産の所有者である会社のオーナーは変わるわけです。
ですから、実質上、不動産のオーナーが変わることになります。
にもかかわらず、不動産の取引という形にならなければ、いわゆる重要事項説明が行われません。
何が言いたいかというと、不動産の実質的なオーナーが新しくなるのに、その不動産について何も知らないままオーナーになってしまう、ということです。
このようなケースでは、M&Aを仲介する方が知識豊富な方ですと、重要事項説明に変えて、われわれ専門家にデューデリジェンスを依頼してくださいます。
このデューデリジェンスにおいて、これはぜひ新オーナーに引き継いでおかなければならない、というような事項が発覚することがよくあります。
(たとえば、敷地内に水路が介在していて、占用許可を更新しなければならないとか)
同業者間の恩恵的なM&Aなどでは、そこまで細かく調べたりしないかも知れません。
しかし、きちんとしたM&Aでは、
・弁護士さんによる法務デューデリ
が並ぶことが多いです。
価格面で合意していても、不動産の実質的なオーナーが変わる場合には、不動産についてきちんと調べておくことをオススメします。