前回、心理的瑕疵のある物件を評価するにあたって、競売評価では市場性修正という減価を行うと書きました。
これは、不動産の経済価値に対するアプローチとして、費用面からアプローチした積算価格を求めるうえで、単純に
土地価格+建物価格=複合不動産の価格
とはならない場合に行う減価修正です。
鑑定評価では、「土地建物一体としての市場性」として、土地価格と建物価格を合計した後に、土地建物合計の価格に対して減価率を乗じるのが一般的かと思います。
たとえば、容積率を十分に消化していない建物が建っている場合や、環境にそぐわない場違いな建物が建っている場合などに行われる減価修正です。
では、ほかにどんな物件に対して市場性修正が行われるのか、という点を見ていきます。
いわゆる事故物件のほか、ラブホテルや学校などの特殊な建物が建っている場合、空室だらけの賃貸物件、権利関係がややこしい物件、高額物件も対象となります。
あくまで、これらは例示であり、土地価格と建物価格を合計した価格では処分できないと思われる場合というのは、意外と多くありますので、実務におきましても市場性修正はよく行います。
この点、税務上の評価などではあまり考慮されることがないと思われますので、不動産鑑定評価によって適正な時価を求めることが有用なケースも多いのではないでしょうか。
特殊な物件の評価を行う機会がございましたら、税理士の先生は一度、不動産鑑定士にご相談されることをオススメします。