評価をするうえで必要になり、福岡都市圏の住宅団地について調べておりますと、国土交通省が「全国のニュータウンリスト」というものを発表していましたので、ご紹介したいと思います。
開発面積16ヘクタール以上のものしか載っておりませんが、それでもたいへん有用な資料であると思います。
お役所はこのように役に立つ資料をひっそりと公開していることが多いので、あなどれません。
いま必要に迫られて調べているのは、住宅団地と言っても、集合住宅ではなく、戸建住宅の開発団地です。
さて、古くは昭和35年に着手された千里ニュータウンを皮切りに、多摩ニュータウンなど多くの住宅団地が開発されてきましたが、福岡でも昭和36に着手された長住団地以降、昭和40年代に入ると、美和台、高美台のほか、周辺地域では大野城市の南ヶ丘、宗像市の自由が丘、日の里団地などが、次々と開発されていきます。
この時期の団地の特徴としては、山を切り開いた団地が多いということ。
ですから、坂道が多いし、擁壁も多い。
よく、住宅情報誌の謳い文句で「駅まで平坦」と書いてありますが、毎日この坂道を上るのかと思うと、平坦って尊いなあ、と思います。
もうひとつの特徴が、今となっては面積が広めであるということ。
だいたい80~100坪程度が多いでしょうか。
最近は地価が上昇して、土地が100坪もあったらローンが通らないので、40坪とか50坪とかいう分譲地が多いですよね。
そして、この時代に開発された団地の風景が変わりつつあります。
ひとつには、建物が建替え時期を過ぎて、限界に近付いていること。当然、いまの建物を取り壊さないといけなくなります。
もうひとつは、相続の発生。昭和40年代に一次取得者層だった居住者は歳を重ね、団地の高齢化が進行していましたが、いまや相続が発生し始めています。
売りに出される物件も増えているようです。
先に申し上げたように、広い土地を買える需要者が限定されることから、このような土地が売りに出されたら、買うのはハウスメーカーです。80~100坪程度の土地を2区画に分割して、建物を建てて、ローンが通るくらいの総額帯に仕上げます。
もともとのサイズの半分の住宅が増えてきています。
豊かな暮らしって何だろう、と考えさせられます。
追記
ネット上に「福岡都市圏における集団住宅地の形成」という1973年の学術論文が掲載されています。当時の状況が分かり、たいへん勉強になりました。