不動産鑑定士の自由研究

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投資用不動産としての底地

底地について、別の角度からのアプローチです。

近年、Jリートの投資対象に、底地というアセットタイプが増えています。

詳しくは、

 

http://www.tmaxv.co.jp/assets/upload/report/2021/pdf2021_1122.pdf

 

前回お話しましたように、「底地の利回り」という場合、それは、更地価格に対する利回りなのか、底地価格に対する利回りなのか、注意が必要です。

(簡略化して、粗利回りで説明しますと)

更地価格:5,000万円

底地価格:4,000万円

年額地代:200万円

とします。

更地価格に対する利回りは

200÷5,000=4.0%

底地価格に対する利回りは

200÷4,000=5.0%

ですから、ひとことで利回りと言っても、どちらのことか分かりません。

 

さて、先の株式会社ティーマックス発信の有用な資料の見方です。

2ページ目に、直近でJリートが取得した底地の一覧が載っています。

この中で、取得するものは底地ですから、「取引価格」とは底地価格です。

そうしますと、「取引利回り」とは底地価格に対する利回りということになります。

 

さらに、この一覧ではご丁寧に、右側から2番目の列に推定更地価格、1番右側には更地価格に対する取引価格すなわち、更地価格に対する底地価格の割合が載っています。

 

が、この、更地価格に対する底地価格の割合が「1」を超えています。

つまり、更地価格より底地価格の方が高いということです。

 

私見では、地代は土地(更地)の実力に応じて設定されるものであり、実力以上の地代が支払われるのであれば、更地価格に対する利回りが高くなるはずで、少なくとも底地価格が更地価格を超えるような現象は起こらないと思っていました。

しかし、現実の市場では、底地が更地価格よりはるかに高値で取引されています。

 

安定的な地代収入が見込まれる底地は、投資の対象となり得る、ということなのでしょう。