不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

物流倉庫整備へ規制緩和 高速IC周辺 という新聞記事について

今日の朝刊で、

 

政府は、高速道路のインターチェンジや幹線道路の周辺で、倉庫など物流施設を整備しやすくするため、規制を年内にも緩和する方針を固めた。

 

対象となるのは、主に郊外のIC周辺などに広がる「市街化調整区域」。無秩序な都市開発を防ぐため、建築に制限がある。開発には自治体の許可が必要で、原則として公共施設しか建てられない。物流業界は、施設用地の確保が難しいとして、緩和を求めていた。

 

という記事が載っておりましたので、さっそくネットニュースに当たってみますと、毎日新聞山陽新聞奈良新聞山陰中央新報福島民友新聞社千葉日報西日本新聞、各媒体の文章がまったく同じなのも気になるところですが、政府は、というので首相官邸のホームページを確認しても、そんな記事は見つけられませんでしたので、まだまだ新聞という媒体は情報源として必要だと感じました。

 

ところで、物流施設用地の不足は九州でも深刻なようで、鳥栖のあたりに用地がないというお話はよく聞きます。

 

福岡市では、福岡IC周辺の東区蒲田地区あたりに広がる市街化調整区域を、大規模流通業務施設指定区域というのに指定しており、これによって建設された物流施設も多数あるのですが、福岡webまっぷでは、このエリアは真っ白な市街化調整区域としか描かれておりませんので、不動産を調査される方はご注意ください。

ちなみに、大規模流通業務施設指定区域の根拠法令は都市計画法らしいです。

 

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景観重要建造物である家屋及びその敷地の評価

本日、研修会で知った国税庁の財産評価における質疑応答。

 

景観法に基づき景観重要建造物に指定された建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地は、どのように評価するのですか。

 

という照会に対して、

 

景観重要建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地でないものとした場合の価額から、その価額に100分の30を乗じて計算した価額を控除した金額によって評価します。

 

と回答されています。

 

www.nta.go.jp

 

不動産の調査をしていると、景観計画を定めている景観行政団体に出くわすことは、けっこうあります。

 

なぜ100分の70で評価するのか、という根拠として、

 

通達5:評価方法の定めのない財産の評価

通達24-8:文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価

通達89-2:文化財建造物である家屋の評価

 

が挙げられています。

 

こんな評価があるなんて、改めて税理士さんの苦労を知った気がします。

こんなの見逃しますよ。

 

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不動産鑑定士試験の合格発表と宅建試験

いよいよ今週の金曜日に、不動産鑑定士試験の合格発表がございます。

発表を待つのはドキドキしますね。

私もそうでした。

 

ところで、私が不動産鑑定士試験を受験していた頃は、合格発表が金曜日にあって、その二日後の日曜日が宅建の試験でした。

毎年、金曜日に不合格発表を見て、落ち込んだ気分のまま宅建試験を受験して、宅建も落ちる、という負のループを三年ほど繰り返し、宅建に合格したのは、不動産鑑定士試験に合格した年でした。

 

ふと、今年の日程を見てみますと、宅建の試験はこの前の日曜日に既に終わっているようですね。

合格発表を待つドキドキの中で受ける宅建試験と、不合格発表があって落ち込んだ中で受ける宅建試験、どちらがよいとは言い難いです。

 

ネット調べですが、今年の宅建の受験者数は23万人を超えています。

一方、不動産鑑定士試験は、今年のデータが出ていませんが、昨年は、短答式の受験者数が1,647名、論文式が871名ということで、だいぶ桁が違います。

 

試験形式が似ている公認会計士試験の昨年の受験者数は、短答式が16,701名、論文式が4,067名となっておりました。

 

不動産鑑定士は、もちろんマイナーゆえのメリットもありますが、やはり、もっとメジャーな職業になってほしいと願います。

 

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相続土地国庫帰属制度 2件承認

昨日の新聞に載っていた記事からです。

 

相続した土地を国庫に帰属させることができる、いわゆる相続土地国庫帰属制度は、本年令和5年4月27日に始まった制度ですが、手続きや要件が厳しいという噂でした。

 

この制度が始まってから8月末までの段階で885件の申請があったようですが、このたびそのうち2件が承認された、というニュースです。

 

法務局のホームページを確認しますと、

「申請の段階で却下される土地」

「不承認となる土地」

が例示されており、土壌汚染がある土地や境界が明らかでない土地は「却下」、勾配や崖がある土地は「不承認」になります。

 

要するに、相続人がいらないと思うような土地は、国もいらない、ということのようです。

 

よくまとめられた政府広報のホームページはこちらです。

 

www.gov-online.go.jp

 

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R5 地価調査が発表されました

毎年、この時期に発表される地価調査。

地価公示と半年ちがいの各年7/1時点の地価を定点観測する制度です。

 

福岡県は相変わらず好調という結果になっております。

都道府県別でみると、商業地の平均変動率は全国1位。住宅地と工業地が全国2位。

 

割安感のあるオフィス用地とマンション用地が地価上昇を支えている、ということです。

また、西鉄天神大牟田線に開業予定の新駅「桜並木」駅周辺がテレビのニュースで取り上げられていました。

 

全国的にみると、顕著な地価上昇率を示しているのは、住宅地、商業地ともに北海道と熊本県の一部の地点。

これらの地点は、北海道ですと「Rapidus」、熊本県ですと「TSMC」の影響を受けているようです。

 

ただ、東京カンテイの上席主任研究員のコメントを見てみますと、コロナの5類移行やインバウンドの影響に触れながらも、「上がりすぎ」「地価の動きと実体経済とのかい離」という言葉も散見され、不動産鑑定士として地価をつける難しさを感じざるを得ません。

 

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アサヒビール博多工場跡地利用に関するニュース

以前、アサヒビール博多工場の移転が決まったときに、以下のような記事を書いたのですが、今回は、その跡地の一部が学校用地として確保されるよう、福岡市がアサヒビールに要望した、というニュースです。

 

hudousankanteishi.hatenablog.jp

 

福岡県内でも小中学校が統合などにより廃校になるケースが増えております。

特に近年では、筑豊地方に目立つ気がしますが、福岡市中心部でも、簀子小学校と大名小学校が舞鶴小学校に統合されました。

 

一方で、九州大学伊都キャンパス周辺地区では、市街化が急激に進行し、西都北小学校が新設されました。

 

アサヒビール博多工場の近隣では、青果市場跡地に開業した「ららぽーと福岡」の周辺エリアでマンションの建設ラッシュがみられ、児童数が増加したことから、小中学校の新設が求められているようです。

 

学校の新設には広大な用地が必要となることから、アサヒビール工場跡地の利用方法として適切であると考えられます。

アサヒビールとしては、跡地活用を未定としていますが、おそらく順調に学校が新設されるのではないかと思われます。

 

学校の新設ということは、周辺地域で子育て世帯が急増しているということで、廃校ということは、その逆であるということの指標になると考えられます。

つまり、学校の新設=顕著に元気な街、ということができるかと思います。

何かのご参考になれば幸いです。

 

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R5 不動産鑑定士試験 論文式の試験問題

八月に入り、お盆前になりますと、不動産鑑定士試験の論文式試験です。

今年も、三日間にわたって、おつかれさまでした。

税理士試験も同じ日程でしたね。

公認会計士試験の論文式はお盆明けの三日間。

 

私が合格したことのある資格試験で申しますと、行政書士試験と宅建試験は秋に実施されています。

 

さて、国交省のホームページに、今年の試験問題が掲載されておりましたので、私もチラッと見てみました。

 

www.mlit.go.jp

 

改めてじっくり見ようとは思うのですが、とりあえず所感を。

 

鑑定理論につきましては、きちんと時間をかけて受験勉強をした受験生が合格しやすい出題になっているのかなあという印象でした。

何を書かなければならないのか、という点は、小問に分けて出題されており、親切に誘導してくれているので、きちんと暗記しておけば点数が取れる内容かと思いました。

 

なお、親切なことに、国交省のホームページには、問題だけでなく、本番で使う回答用紙も掲載されておりますので、次回の受験をお考えの方は、回答用紙もダウンロードして使うようにすると、本番で戸惑うこともないかと思います。

(罫線だけの回答用紙ですが、あらかじめ体裁を知っておくことをオススメします)

 

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