これまで、相続した空き家の売却益のうち、3,000万円が実質非課税となる譲渡所得税の特例がありました。
ただし、いろいろと要件がありまして、ざっくり言いますと、旧耐震基準で建った危険な空き家を
①耐震改修して売る
②取り壊して更地にして売る
のいずれかの場合に適用されました。
空き家対策の特例ですので、趣旨には適っています。
しかし、誰も住んでいない空き家を相続したばっかりに、費用をかけて耐震改修または取壊しを行う相続人の負担は軽くないものと思われました。
2024年1月から、この要件が緩和されまして、相続人が直接手をつけなくても、売った先の買主さんが耐震改修または取壊しをした場合でも、この特例が適用されることとなりました。
おそらく、想定される買主さんの多くが、建物を取り壊して建て替えを行うために買うものと思われますので、あらかじめ相続人が取り壊さなくても、空き家対策という観点からは同じ結果が得られます。
ただし、「譲渡の時からその翌年の2月15日までに」取り壊さなければ、特例が受けられません。
それまでに買主さんが取り壊してくれないリスクを回避するために、売買契約の中で特約を付す必要が出てまいります。
国交省が、特約の文言例を公表しており、履行できなかった場合の損害賠償請求を盛り込むことなどが推奨されているようです。
買主さんからすると、せっかく自分の物になったのに、取壊しのタイミングまで指定されるという負担があります。
これまで相続人の負担だったものが、買主に移動しただけとも言えますが、空き家対策が進むのはよいことだと思います。