不動産鑑定士試験に合格しても、実務修習を受けなければ不動産鑑定士として登録することができません。
実務修習は1年コースと2年コースが用意されていて、その間に、実務修習機関と言われる、鑑定実務を教えてくれるところ(多くは不動産鑑定業者)に所属し、13本の模擬鑑定評価書を書かなければなりません。
それに加えて、その間に4度、東京で集合研修があります。
不動産鑑定士はマイナー資格ですので、同期が全国に100人くらいしかいません。
ですので、集合研修で飲み会などがあると(コロナ禍では困難ですが)、全国の同期ほぼ全員と知り合うことができます。
と、よい点を書きましたが、集合研修は泊りがけです。東京に4度も行くと、けっこうな出費です。
さらに、実務修習を受けるために、不動産鑑定士協会連合会というところに、30万円ほど納入する必要があります。
合格したばかりの若者には、痛烈な出費です。
さらにさらに、実務修習を受け入れている業者は、実はそんなに多くありません。
なぜなら、修習生のみならず、受け入れ側にもけっこうな負担がかかるからです。
余裕のある鑑定業者なんて、そんなに多くありませんので。
そして、うまく受け入れ業者に入り込めなかった場合、明海大学が年に20人ほど、実務修習生を受け入れていますので、ここに行くことになるのですが。
実は、受講料が75万円かかります。
問題なく実務修習を受けようとしたら、鑑定業者で補助者をしながら受験して、そのまま勤務先で実務修習を受ける。これが最もポピュラーなルートではないでしょうか。
私もそうでしたし、私の周りも、このパターンが最も多い気がします。
そんなわけで、国土交通省が、できるだけ広く優秀な人材を確保し、このマイナー資格を存続させようとしているにも関わらず、相変わらず狭い門戸となっている点、不動産鑑定士業界の将来が心配です。
実務修習の中では、本当に実務に必要なスキルを身に着けることができますし、重要なプロセスだと思います。
ですが、もっと実務修習を受けるためのハードルを下げて(たとえば国土交通省の直轄にして費用を下げるとか)、優秀な人材が集まるような制度へと改革が必要であると感じます。
と、偉そうなことを述べてしまいました。