不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

相続税評価 宅地の評価単位

土地の評価単位についての考察です。

 

不動産鑑定評価において、どこまでの範囲をひとつの物件として評価するのか、という規定は、特にありません。

これは、鑑定評価の依頼目的に合致させる必要があるためと思います。

 

事業の継続を前提として事業用不動産を評価する場合、道路を隔てたところに駐車場があったとしても、これは一体の不動産として評価されることでしょう。

 

不動産鑑定評価において、評価単位は柔軟に捉えることができます。

 

一方、公共事業などで用地買収をする際に行われる土地評価では、評価単位が厳格に規定されており、まず、地続きでなければなりません。

また、個人補償の原則から、所有者が異なっている部分は別画地と認定します。

 

さて、相続税評価にあたっては、どのような評価単位で土地を評価するのかと言いますと(正確には土地ではなく「宅地」です)、「利用の単位となっている1区画の宅地」というふうに規定されています。

詳しくは、タックスアンサーNO.4603「宅地の評価単位」に書いてありますが、これが不動産鑑定士の目線で言わせていただくと、どうもスッと腑に落ちない部分がありまして、苦労します。

たとえば、このタックスアンサーで例示されている(5)の部分ですが、

貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地をいいます。)を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とします。」

ひとつの敷地に数棟の賃貸用戸建が建っている場合、あるいは、A棟B棟C棟みたいにして建っているアパート、コーポⅠとコーポⅡみたいなものも別画地として評価しなさいとおっしゃっております。

たいてい、無理矢理に土地を区切ると、変な形になって、評価額は下がる方向に作用すると思いますので、相続税評価においては有利なのかもしれませんけど、評価を行う上で、これを別々の土地とする考え方には、どうも馴染むことができません。