税理士さんと不動産鑑定士
本日、研修会で知った国税庁の財産評価における質疑応答。 景観法に基づき景観重要建造物に指定された建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地は、どのように評価するのですか。 という照会に対して、 景観重要建造物である家屋及びその敷地の用…
このたび、不動産鑑定士協会は税理士会との交流を図るため、研修会を行ったのですが、私も講師として参加してまいりました。 同業者が半分、税理士さんが半分という、微妙な配分の聴講者を前に話をするのは、とてつもなく緊張しました。 研修会のもよう 講師…
このブログを始めてから2年と少しが経ちます。 多くの方々にご覧いただきまして、本日、5000アクセスを達成いたしました。 これもすべて、皆様のおかげです。 深く感謝申し上げます。 ところで、今回は、税理士先生向けの書籍をご紹介いたします。 「はじめ…
相続税評価のお話です。 相続税法第22条(評価の原則) この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による…
「税理士のための不動産鑑定評価の考え方・使い方」という本です。 私もこんなタイトルの本を書ける日が来たらいいなあ、と思いながら購入しました。 読み進めるにつれて、筆者の先生の不動産鑑定評価に取り組む姿勢が垣間見える、非常によい本でしたので、…
マイナーな事件ですので、検索してもなかなか見つからないのですが、 平10(ネ)23号(H10.11.9判決・東京地裁) という事件があります。 税理士にとっては酷なのですが、教訓としていただけると、不動産鑑定士としてはありがたい事件です。 相続税申告のた…
相続税評価において、借地権割合というものがございます。 これは、相続財産に借地権が含まれる場合、その借地権価格を求めるのに使用されます。 逆に、借地権が付着した宅地(底地、税務上は貸宅地といいます)の所有権価格を求める際にも使用されます。 た…
この判示事項は、 「課税庁が評価通達に従って画一的に評価を行っていることは公知の事実であるから、課税庁が、特定の物の相続財産の価額についてのみ評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは、合理的な理由がない限り、…
さて、最高裁の判示事項を概要という形でTAINSがまとめてくれていますので、要点を追っていきたいと思います。 まず、相続税路線価は時価の8割に設定されていますが、これは路線価が更新されるまでの1年間の間の地価変動によって、相続税評価額が時価を上回…
まず言いたいこと。 違法行為は違法だが、脱法行為は違法ではないということ。 (脱法は合法と言うことには差支えがあるようで、いつの間にか「合法ドラッグ」は「脱法ドラッグ」と呼ばれるようになっています) そして、通達とは、行政機関内部の文書であり…
一度では書ききれませんので、これから数回に分けて、 令和2年(行ヒ)第283号 相続税更正処分等取り消し請求事件 節税目的で取得した不動産における評価通達6の適用の是非 について考えていきたいと思います。 この事件は、テレビでも大々的に取り上げられ…
士業として、やはり気になるところですので、私も読んでいるところです。 内容はネタバレになりますので書けませんし、私も読み進めている最中です。 税務をされている方はお忙しいと思いますが、確定申告が終わってからでも、パラっと目を通されてはいかが…
合理的推定という都合のいい言葉があります。 不動産鑑定士なら、一度は使ったことがある言葉ではないでしょうか。 要するに、事実は分からないんだけれども、なんだかんだと理由をつけて、事実であったかのように話を進めてしまうことです。 そもそも不動産…
資産税が得意ではない税理士さんが、相続税の申告をしました。 資産税が得意な税理士さんが、更正の請求のチャンスを発見して、再度、評価を行いました。 そして私は、ちょっと税務に詳しい不動産鑑定士という立場で、その最終チェックを行っているところで…
こんな顧問税理士はイヤだ 最近、士業の先生もyoutubeを活用されることが多くなりました。 私は、移動中などの時間に専門家の先生のyoutubeをよく見ています。 (車で移動することが多いので、見るより聴くことのほうが多いです) 傾向としましては、税理士…
裁決事例を読んでおりますと、不動産鑑定評価額で相続財産の評価額を求めて、相続税を申告したケースで、納税者側である相続人が、原処分庁である国税庁の主張に負ける場合、裁決理由として、 ○評価通達等による難い特別な事情が認められない という理由だけ…
前回、心理的瑕疵のある物件を評価するにあたって、競売評価では市場性修正という減価を行うと書きました。 これは、不動産の経済価値に対するアプローチとして、費用面からアプローチした積算価格を求めるうえで、単純に 土地価格+建物価格=複合不動産の…
土地の評価単位についての考察です。 不動産鑑定評価において、どこまでの範囲をひとつの物件として評価するのか、という規定は、特にありません。 これは、鑑定評価の依頼目的に合致させる必要があるためと思います。 事業の継続を前提として事業用不動産を…
前回は、配偶者居住権の価格を求める場合、その場面によって求め方が異なり、相続税の申告にあたっては、相続税評価額でよいけれども、遺産分割協議などの「時価」が求められる場合には、相続税評価額では事足りない、というお話でした。 そこで、配偶者居住…
実は、期間限定で、不動産鑑定士協会連合会のホームページで 「配偶者居住権等の鑑定評価に関する研究報告」 というものが、一般の方でも閲覧できるようになっておりますので、ご興味がございましたら、ぜひご一読いただければと思います。 さて、相続税の申…
まだ実務でやらせてもらったことはないんですけど、「配偶者居住権」の価格または「配偶者居住権が付着した建物及びその敷地」の価格を求めてください、というご依頼があった場合に備えて勉強中です。 相続に関連して不動産鑑定評価をご依頼いただく場合とし…
令和2年4月1日から適用されております改正民法の中で新しく創設された権利が「配偶者居住権」というものです。 そもそも、民法で法定相続分などというものがあるので、たとえば自宅の家のほかに財産のないお父様が亡くなって、同居していたお母様と、既に家…
以前より、税理士さんのお仕事は多岐にわたり、損害賠償請求に直結する点で過酷であると申し上げてまいりましたが、こんなことで訴えられるのか、という恐ろしい事例をご紹介します。 事件番号:平10(ネ)23号 平成10年11月9日 東京高裁の判決です。 詳細は…
前回は、不動産鑑定評価の最もシンプルな活用方法として、相続税の申告をご紹介しましたが、実務では、相続が始まる前、つまり相続対策として不動産鑑定評価を活用していただくことの方が多いです。 相続が始まってから不動産鑑定評価を活用する場合というの…
どんなときに不動産鑑定士さんに仕事をお願いするの、と聞かれて、お客様が最も関心を持ってくれるのが、このテーマです。 土地を売ると、売った金額に税金がかかるのではなく、「譲渡所得」に対して税金がかかります。 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得…
相続税評価のお話です。 財産評価基本通達の中には、土地の減価要因がいろいろ列挙されていますが、平成30年に追加された減価要因が「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」です。 不動産の業界では、レッドゾーンと呼ばれるもので、近年、雨の降り方が…
税理士さんの賠償責任保険の事故事例を読んでみました。 以前から思っておりましたが、税理士さんのお仕事はクライアントのお金に直結しているので、恐ろしいですよね。 もちろん、税理士さんが間違えて、クライアントが怒ったら、損害賠償問題に発展します…
以前にも書いたかも知れませんが、不動産鑑定士という職業を理解していただくために大切なことですので、何度も書きますが。 「不動産の経済価値を判断する」のは、なにも不動産鑑定士に限ったことではありません。 不動産にかかわるすべての方が、何らかの…
以前、相続税評価上の底地(貸宅地)の評価はおかしい と申し上げまして、その中で使いました「限定価格」という概念を説明させていただきます。 これは不動産鑑定評価基準に記載されている概念でして、 「限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動…
最近、借地権とか底地とかのことを書いておりますので、 その流れで、底地の価格について。 底地というのは、借地権が付着している土地の所有権部分のことです。 相続税評価では貸宅地と呼ばれます。 底地=貸宅地。 同じものを指すのに、用語がふたつあると…