不動産鑑定士の自由研究

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土地の立体利用 擁壁は土地に化体する

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とある分譲地

 

地球規模でみると、ほんの小さな高低差でも、家を建てるとなると大掛かりな造成工事が必要になります。

 

立派な擁壁です。

擁壁工にはもちろん費用が掛かります。

そして、擁壁は宅地を形成するために土地と一体になっていますので、評価上は土地に化体するものです。

 

そこで、経済価値の3面アプローチのお話です。

不動産のみならず、株の評価、企業価値の評価、知的財産価値の評価、経済価値を評価するにあたっては、3面からアプローチするというのがお決まりのパターンです。

すなわち、

〇費用性アプローチ

〇市場性アプローチ

〇収益性アプローチ

たとえば、相続税評価上、株を評価する場合の、

〇純資産価額方式

〇類似業種比準方式

〇配当還元方式

に対応しています。

 

このように考えますと、立派な擁壁がある宅地は、道路と地続きの平坦な宅地と比較して、よけいに費用が掛かっていますので、高価な土地ということになります。

 

でも実際には、高低差がある土地より、平坦な土地の方が、高い値段がつきます。

経済価値を判断するには、費用性だけでなく、いろいろなアプローチをする必要がある、という例だと思います。

 

非上場株式の評価においても、配当還元方式を例外的に位置づけるのは、あくまで相続税法上の決まり事であって、たとえば、M&Aなどで第三者に譲渡するときにまで、相続税法で決められたとおりに評価する必要はありません。そんなときには、この理屈を知っていれば、交渉において強い味方になってくれると思います。

 

さらに、純資産価額を求める上で、不動産の時価を求める必要性が生じましたら、ぜひ不動産鑑定評価をご活用ください。