「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」という、なんとも長い名前のガイドラインです。
要するに、「事故物件」のことです。
不動産業者が「買主」または「借主」に、この物件は事故物件ですと言わないといけないのはどういうケースか、ということを定めるガイドラインです。
私も、不動産鑑定士という職業柄、いわゆる「事故物件」の評価には少なからず関心がありまして、独自に判例なども収集してまいりましたが、実務では未だ、心理的瑕疵を理由とした減価を行ったことはありません。
裁判所の競売評価においては、以前から、市場性修正という形で減価を行うよう、ある程度マニュアル化されているようです。
われわれ不動産鑑定士が評価を行うにあたって、その物件が事故物件かどうかを調べる手段としては、関係者からの聴取のほか、「大島てる」のホームページを調べるくらいしかありませんが、「大島てる」であっても、すべての事故物件を網羅しているわけではありませんので、私も「事故物件」と知らずに評価したことがあるかも知れません。
(いちおう私は、実務でも「大島てる」のホームページは調べるようにしています。)
さて、不動産の心理的瑕疵につきましては、昭和37年大阪高裁の裁判例にはじまり、私なりに言いたいこともあるのですが、長くなりそうですので、またの機会にして、今回のガイドラインについて、私の個人的な感想としましては、
「ずいぶん業者にやさしいガイドラインだな」
と思いました。
自然死であれば、告知義務なし?
不慮の事故でも告知義務なし?
私の認識としては、たとえば、賃貸であれば、
自然死→▲10%
事故死→▲20%
殺人 →▲40%
ぐらいの家賃の減額があるとの感覚を持っていたのですが、今回のガイドラインは業者にやさしい=消費者に厳しめかな、と思いました。
みなさまも様々な感想をお持ちになるかと思いますが、ご意見をお寄せいただけると嬉しいです。