不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

評価事例 家賃の増額請求交渉

改めて感じること。

それは、不動産鑑定士のアピール不足です。

 

開業してみて、サラリーマンの頃より、いろいろな方と触れ合う機会が増えて、改めて感じます。

 

そもそも、このブログを始めた目的は、不動産鑑定士の認知度アップに貢献すること、でした。

 

今は、不動産鑑定士の活用法を知っている一部の方が、うまく不動産鑑定士を活用して、結果として得をしている、というのが現状ではないかと感じています。

もちろん私も、そのように不動産鑑定士をうまく活用していただける方に、うまく使っていただければ幸せなのですが、最終目標は、これまで不動産鑑定士と一緒に仕事をしたことがない、という専門家の方に、不動産鑑定士というのは使い方によっては使える人種だと実感していただき、喜んでいただくことです。

 

というわけで、しばらくは評価実績のご紹介にも力を入れていきたいと思います。

そんな使い方もあったのか、と認識していただければ幸いです。

 

まずは、弁護士さんからのご紹介が多い、賃料(地代・家賃)に関する評価から。

 

オーナー側の立場で、賃料の増額を請求したい場合。

これは、求める賃料の種類が「継続賃料」となります。

(不動産鑑定評価で求める賃料には、「新規賃料」と「継続賃料」があります。詳しくは、いずれご説明できればと思います。)

 

裁判所は、現行賃料を「いったんは当事者双方で合意をみた賃料」ということで、大幅な賃料改定を認めたがらない傾向にあります。

つまり、「合意」に重きを置いた裁定ということです。

 

ですから、現行家賃が坪1万だとして、新規に賃貸借契約を結んだら坪2万だから、坪2万に増額してくれ、と請求しても、裁判所は認めてくれないでしょう。

2万を目標に交渉することは可能ですが、賃借人が多少でも歩み寄ってくれるなら、裁判までもつれ込まないうちに、どこかで妥協することが得策であるケースが大半です。

 

どこで折り合えば得なのか、これは不動産鑑定士の専門分野です。

今後の展開を事前に見通して交渉に臨めば、無駄な労力を省くことができます。

 

そして、それは契約ごとに異なります。

これは、裁判所が重視する「合意」をした時点(これを直近合意時点といいます)が、賃借人によって異なるためです。

 

ですから、保有するビルのテナントに、一斉に賃料の増額請求を行うケースでも、賃借人ごとに、妥協すべき賃料というのは異なるのです。

 

その点、ご理解いただければ幸いです。

 

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