不動産鑑定士の自由研究

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活用事例 セカンドオピニオン2

私が担当させていただいたセカンドオピニオンの事例をご紹介します。

 

「継続賃料」でした。

 

簡単に説明しますと、賃料の評価には、

〇新規賃料

〇継続賃料

の2種類ございます。

新規賃料は、これから賃貸借契約を結ぶとしたら、賃料はいくらが適正か、という評価です。

継続賃料は、既に賃貸(もしくは賃借)中の賃料を改定するとしたら、賃料はいくらにするのが適正か、という評価です。

 

この「継続賃料」の評価書というのは、内容が込み入っておりますので、初見では理解し難い。

そこで、何が書いてあるのか教えてほしい、というご依頼でした。

 

通常、継続賃料の評価を取る場合というのは、貸主が賃料増額請求をする場合か、借主が賃料減額請求をする場合です。

交渉がまとまらなくて、調停などになり、裁判所に持ち込まれると、裁判所から、増額請求または減額請求する根拠を示せ、すなわち鑑定評価書を持ってこい、と言われて、鑑定評価になるわけです。

これに反論しようとするにも、根拠を示せ、と言われますので、反対鑑定がでてきます。

つまり、貸主側と借主側の2本の鑑定が出てきますが、結論が一致することなどありませんので、各当事者の主張のみならず、裁判所の見解を持つ必要があります。

どうするかと言いますと、裁判所は裁判所で鑑定を取るわけです。

つまり、計3本。

 

セカンドオピニオンのご依頼者様は、この点すごく合理的でして、お互いに鑑定を取って主張しても、結局、裁判所が取る鑑定の費用まで負担しないといけなくなるので、それなら恨みっこなしで、裁判所の鑑定に結論を委ねましょう、となったわけです。

鑑定は1本。

 

裁判所の取る鑑定は、費用負担は各当事者ですが、依頼者は裁判所ですので、不動産鑑定士は各当事者に、鑑定評価書の読み方まで説明してくれません。

そこで、セカンドオピニオン、となったわけです。

まあ、要するに、裁判所鑑定の結論に不満があったから、内容を説明してくれる人を探した、ということなんでしょうけれども。

 

裁判に限らず、鑑定結果に不満を持つ相手方、というのは、います。

われわれ専門家は、やっぱり、一般の方と比べて、論点を明確にして評価書の内容を説明する能力には長けておりますので、お困りの際にはセカンドオピニオンという手もアリだと思います。