不動産鑑定士の自由研究

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敷金の運用利回り2

前回、不動産鑑定評価においては、敷金や礼金も考慮して、収益価格を求めます、というお話をしました。

 

たとえば敷金だと、預かったままではなく、これを運用して得られる運用益を、当該不動産の収益にプラスします。

つまり、お金がお金を生む、という、資本主義経済に則った計算になります。

 

ところで、敷金の運用利回りには、どのような率を採用するのが妥当でしょうか。

これには、いろいろな考え方がありまして、

①不動産投資に対応する利回り

②借入金金利に対応する利回り

③預入金利に対応する利回り

のいずれかが一般的でしょうか。

 

私がこの業界に入った頃には、預り敷金は不動産に再投資するから①不動産投資に対応する利回りを採用する、という考え方が一般的だったと思います。具体的な数値としては5%前後を採用していました。

この数字の中身については、いずれご説明できる機会があればと思います。

 

ところが、このところの低金利時代に、預り敷金を5%で運用できる投資家がいればお目にかかりたい、という意見が勢力を増してきまして、最近では1%程度の率を採用することが多いように思います。③の預入金利は1%もありませんので、②の借入金利に対応しているのでしょう。

 

何が正解かを見出すのは、なかなか困難ですが、そもそも、プレーヤーである投資ファンドの内部計算などで、敷金を運用して、その運用益を不動産投資の収支に織り込んだりはしないと思いますので、あくまで不動産鑑定評価上の理屈に過ぎませんけど。

 

ところで、碓井先生の論文が気になられましたら、ぜひとも「Evaliation」をお手に取ってみてください。