不動産鑑定士の自由研究

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野菜工場は農地か

野菜工場という言葉があるのかどうか分かりませんが、一般的には植物工場と呼ばれているのかな。

 

一度は書きたいと思っていたネタですが、書くのを忘れておりました。

 

分かりやすく「野菜工場」と呼びましたが、要するに、野菜を栽培する工場のことです。モヤシとかレタスとかを、土に植えて育てるのではなく、工場の中で栽培してしまう、というものです。

 

私は農業の専門家ではありませんので、メリットやデメリットについては省略しますが、お天道様や雨の恵みに頼らず、環境をコントロールできますので、不慮の事故に遭う確率も低く、生産性が高いはずです。

 

私が問題にしたいのは、この場合の固定資産税です。

 

一般的に、農地の固定資産税というのは、すごく廉価です。

では、野菜工場の敷地の固定資産税はどうか、と言いますと、これは宅地として扱われますので、農地の何百倍も高いです。

 

同じ野菜作りをしてるのに、なぜ?という疑問を、とあるお役所で世間話として聞いたところ(聞かれたお役人さんも迷惑だったでしょうが)、いわゆる農地法というのは、農業を守る法律ではなく「農地」を守る法律だ、という説明を受けた記憶があります。

 

ふと思い出して、農地法を調べてみました。

 

第1条(目的)

この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。

 

念頭にあるのは、「農地改革の成果を恒久的に維持」することのようで、第1条の前段は「農地」を守るとおっしゃっています。

しかしながら、最終的な着地点は「国民に対する食料の安定供給の確保」ですから、野菜工場のほうが供給は安定するはずです。

 

そこで、話が遠回りですが、「農業」とは何なのか、と言いますと、辞書によっては「土」の上で農作物を作ること、といった定義がされているようで、そうしますと野菜工場は農業ではなく「工業」に区分されることになります。

 

近年、ビニールハウスの敷地にコンクリートを打っても、農地として取り扱いますよ、という制度ができたようですが、

 

https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/sogo/shinseisho/shinseisho/sangyo/tenyo/nousakumotsusaibaiko.files/nousakumotsu_s.pdf

 

それより高度な技術と、多額の資金をつぎ込んで、高い固定資産税を課される現行制度には、あまり納得できません。