不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

相談事例 借りている土地を買い取りたいと言ってきた(底地の併合?)

底地の併合などという専門用語を使ってしまいました。

(正確には借地権がありませんので、底地の併合ではありません)

 

事例のご紹介です。

こんなご相談がありました。

土地の所有者Aさんは、建設業者Bさんに、資材置き場などに使うための土地を貸していました。

このたび、BさんがAさんに、借りているこの土地を買い取りたいと言ってきました。

Aさんは、この土地をいくらぐらいで売ればよいのか、ざっと計算するために、

 固定資産税評価額 ÷ 0.7(※)

をしてみると、約1,500万円となりました。

(※)さすが地主さん。よくご存じです。なぜこんな計算をするのかは、別の機会に。

 

ところが、Bさんが言うには、

「この土地の価値は1,500万円ぐらいだろう。

でも、この土地には残土が積まれていて、この残土の処分費に5~600万円かかるので、1,000万円で買ってやろう。」と。

 

そうです。

Bさんは資材置き場としてだけでなく、現場で出た残土の堆積場として、この土地を使っていたのです。

借主自ら、土地の価値を下げるようなことをしておいて、そのぶん安くしろとは、あきれてモノが言えませんし、不動産鑑定士の出番以前の問題です。民法に詳しい法律家をご紹介します。

 

この場合、残土でしたが、土壌汚染などでも同様のケースが想定されます。

 

似たようなケースは、実は公共事業にもあります。

たとえば、下水処理場を作るための用地買収で、「将来このエリアに下水処理場ができるから、このあたりの地価は下落する。」という要因を考慮して土地価格を決めたら、地主さんは怒りますよね。

逆に、道路を拡幅するための用地買収で、「将来この道路は広くて交通量の多い幹線道路になるので、この道路沿いの地価は上昇する。」という要因を考慮して土地価格を決めるのも不公平ですよね。

このような場合、「当該事業による影響がないものとして」というような評価条件を付けて鑑定評価を行います。