不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

不動産鑑定士の業務 総論

ところで、不動産鑑定士はどんな仕事をしているのか。

以下、どんな場面で不動産鑑定士が登場しているのか、列挙していきます。

具体的な内容につきましては、おいおいご説明させていただきます。

 

地価公示・地価調査・相続税路線価評価・固定資産税評価

〇公共用地の買収価格算定・公有財産の売却価格算定

〇裁判所からの依頼による鑑定

〇不動産証券化

不良債権処理・債務整理・事業再生

〇財務諸表関連

〇担保評価

〇現物出資・M&A・事業分割

〇購入・売却(第三者間・関連会社間)

〇争訟・調停

〇相続・遺産分割・財産分与

 

上に行くほど、公的要請の度合いが強まり、

下に行くほど、私的要請の度合いが強まるように並べています。

 

こうやって並べてみますと、浮世離れしていますね。

一般の方が日常生活を送る中で、関係がありそうなのは

〇購入・売却

つまり、不動産を買ったり売ったり、という場面でしょうか。

でも、マイホームを買うときに鑑定評価を依頼する方は

なかなかいらっしゃらないでしょう。

なぜでしょうね。

 

 

不動産鑑定士に向いている人 その3

不動産鑑定士というのは資格業ですから、まずスタートラインに立つには

試験に合格しなくてはなりません。

でも、資格業は、言ってみれば「生涯現役」。

合格はあくまでスタートです。

その先には、長い不動産鑑定士人生が待っています。

 

まず、この仕事をしていて思う不動産鑑定士に必要な資質とは、

「不動産が好きであること」

 

たとえば福岡県で言いますと、サラリーマンより経営者のほうが多い不動産鑑定士

なかには経営のプロと呼ぶべきビジネスマンもいます。

しかし、同業者の多くが、経営者としての顔よりも

「不動産おたく」もしくは「不動産マニア」という顔が前面に出ています。

そういう意味では私も公私混同が甚だしいです。

なにしろ、「趣味=不動産鑑定評価」だと自認しています。

たとえば私は、レトロな建物が好きです。水面上に建っている建物も好きです。

コンビニとして建てられた建物を、違う用途に使っているテナントが好きです。

その他もろもろ、不動産に心ひかれる瞬間が大好きです。

 

とにかく、好きなことを仕事にできるというのは、幸せなことだと思います。

そして、実務では日々、新しいことを発見できますし、いろんな現場に出かけます。

ふたつとして同じものがない「不動産」の楽しさだと思います。

合格を目指している皆様におかれましては、ぜひ、この楽しい業界のスタートラインに立っていただきたいと思っております。

 

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不動産鑑定士に向いている人 その2

前回は職業倫理的なお話になりました。

今回は、スタートラインに立つための適性について。

 

まず、国土交通省のホームページに、令和2年の不動産鑑定士試験の合格者の

属性が載っておりますが、平均年齢が32.8歳。

私が合格した年の平均年齢が34.8歳で、そのとき私は35歳でした。

 

同業者をみてみますと、学生時代に合格して、新卒でこの業界に入ってきた人など皆無です。

これは福岡のお話ですので、東京ではまた事情が違うかも知れません。

少なくとも私の周辺はおおかた転職組。それも一念発起型の転職組が多いです。

「この仕事はおもしろいねえ。人生一発逆転できるもんね」

とおっしゃった同業者がいますが、まさにそんな資格です。

そもそも私も学生時代、不動産鑑定士なんて資格、知りませんでした。

ですから、みなさん経歴もバラバラ。

そんなわけで、気合の入った方が多いです。

 

試験制度をみても、税理士試験なんかだと、コツコツと何年も時間をかけて合格科目を積み重ねることができますので、やっぱりコツコツ型の方が多い。

一方、不動産鑑定士は真夏に3日続けて論文を書き続けなければなりません。

必然的にコツコツ型よりも「爆発型」が合格します。

だけど、実務では、けっこうコツコツ型の資質が求められます。

 

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不動産鑑定士に向いている人 その1

どんな人が不動産鑑定士になっているのか。

どんな人が不動産鑑定士に向いているのか。

 

まず、大きく分類しますと、不動産鑑定士はサービス業ですので、

世のため人のため、社会の役に立ちたい、という思いが必要です。

少なくとも、そんなにワリのいい仕事ではありませんので、

儲けたいだけならオススメしません。

 

次に、不動産鑑定士だけではなく、あらゆる国家資格者に言えることだと思いますが、

専門職ですので、「職人」の側面があります。

不動産鑑定評価基準にも、「専門職業家」という言葉が出てきます。

キッチリやること。ちゃんとやること。

どんな仕事にも言えるでしょうけれども、資格者にはより重い「キッチリ」が

求められます。

 

近年、この業界もダンピングが横行し、ひどい価格競争にさらされています。

正直なところ、不動産鑑定評価書を書くにあたって、多少手を抜いても、多くの場合、

バレません。

もちろんプロが見れば、「ああ、手を抜いてるな」というのは分かります。

それでも、クライアントには分からないでしょう。

また、安かろう悪かろうを求めるクライアントが一定数いることも理解できます。

こういう環境ですので、自分を律することができる人が求められていると思います。

 

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不動産鑑定士試験 体験談

不動産鑑定士になるには、試験に合格しなければなりません。

いちおう難関試験ということになっているようです。

わりと最近、試験制度が新しくなって、公認会計士試験によく似ています。

というより、不動産鑑定士試験が公認会計士試験に寄せたんですよね。

 

不動産鑑定士試験ですと、まず、5月に「短答式」というマークシートの試験を受けます。これに合格すると、その年、翌年、翌々年の3回は「論文式」を受験できます。

マークシートと思って侮ることはできません。けっこう難しいです。

科目は「行政法規」と「不動産鑑定理論」の2科目ですので、公認会計士試験よりは楽かもしれません。

 

そして、8月の「論文式」です。2時間ずつ6コマの試験です。連続3日にわたって行われます。これも公認会計士試験と同じですね。

不動産鑑定士試験の論文式は「民法」「経済学」「会計学」「不動産鑑定理論×2」そして「演習」すなわち、試験時間の間に評価書を書く試験です。

この論文式が本気で難しい。

夏真っ盛り、罫線が引かれただけの何枚もの紙に、3日間ひたすら文字を埋めていくのは、神様だか仏様だかに、これまでの人生を問われているような、荘厳な気持ちになるものです。

 

論文式は、試験会場が東京・大阪・福岡の3か所しかありません。

私は福岡に住んでいるので恵まれていますが、試験会場には大きなスーツケースを持ち込む人が大勢います。

 

国土交通省発表の令和2年試験は、受験者数764人に対して合格者数135人ですから、単純に割りますと約18%の合格率となりますが、試験会場に行くと空席が目立つことに気づくと思います。実は、申込者数は1,160人ですから、割りますと約12%。どちらの数字を合格率というのか分かりませんけど、なかなか難関です。

 

いちど短答式に合格すると、論文式の受験資格を3回分もらえるんでしたね。この3回のうちに論文式に通らないことを、業界では「三振」と呼びます。

私も一度、三振しました。2打席目の合格です。

 

 

 

かつて三大国家資格のひとつであった不動産鑑定士

三大国家資格という言葉があるらしいです。

今はすっかりマイナー資格ですが、

その昔、不動産鑑定士三大国家資格のひとつに数えられていたようです。

最近、三大国家資格不動産鑑定士を含めてお話しになるのは、

同業者、すなわち不動産鑑定士の方ばかりのような気がします。

 

そんな括り、気にしなければよいのですが、

かつて「ビッグ3」であったのに、その地位から陥落したばかりでなく、

すっかり知名度を失った不動産鑑定士としては、さびしいばかりです。

(そんな時代を知らない私は気楽なものですけど)

 

いちおう、三大国家資格というのは、

〇司法試験

公認会計士

不動産鑑定士

ということになっていたようです。

 

でも、ヤフー知恵袋で、三大国家資格って何ですか、という質問には

さまざまな答えが書かれております。

たとえば、弁護士・公認会計士・医師、

あるいは、司法試験・公認会計士・国家公務員1種

とにかく、不動産鑑定士三大国家資格と認識している方は少ないようです。

そもそも、不動産鑑定士という資格をご存じないのかも知れません。

ひとりでも多くの方に、不動産鑑定士という、意外と社会のお役に立っている

(と思う)職業について知っていただけるように、がんばってまいります。

 

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マイナー国家資格 不動産鑑定士

不動産鑑定士がマイナーである原因のひとつが、その人数の少なさです。

ほかの士業と比較してみます。

 

〇弁護士     約4.1万人(2019弁護士白書 日本弁護士連合会HPより)

〇税理士     約7.9万人(R3.1 日本税理士会連合会HPより)

司法書士    約2.3万人(2020.4 日本司法書士会連合会HPより)

行政書士    約4.9万人(R2.10 日本行政書士会連合会HPより)

社会保険労務士 約4.3万人(2020.9 社会保険労務士法人アイプラス様HPより)

公認会計士   約3.2万人(2021.1 日本公認会計士協会HPより)

土地家屋調査士 約1.6万人(2020.4 日本土地家屋調査士会連合会HPより)

弁理士     約1.1万人(2020.3 日本弁理士会HPより)

中小企業診断士 約2.7万人(H31.4 経済産業省HPより)

不動産鑑定士   9,543人(R2.1 国土交通省HPより)

 

並べて書いてみると、切なくなりますね。

 

ここに挙げた10の士業は、「福岡専門職団体連絡協議会」(略して専団連)を構成する士業です。

 

専団連は、一つの専門職分野にとどまらない複雑な問題に対応できるように、各士業が合同で無料相談会を開催したりしています。

 

比較するのも変ですけど、コンビニエンスストアの店舗数(2021年1月度)は約5.6万店舗らしいです。

 

少し古いですが、2019年のプロ野球選手の数が、育成選手を含めて914人とのことですので、現役のプロ野球選手に出会うより、不動産鑑定士と出会うチャンスは約10倍大きいです。出会ってもあまり嬉しくないかも知れませんけど。

 

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