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R4.4.19 最高裁判決 節税目的で取得した不動産における評価通達6の適用の是非 2

まず言いたいこと。

 

違法行為は違法だが、脱法行為は違法ではないということ。

(脱法は合法と言うことには差支えがあるようで、いつの間にか「合法ドラッグ」は「脱法ドラッグ」と呼ばれるようになっています)

 

そして、通達とは、行政機関内部の文書であり、上級機関が下級機関に対して、法令の解釈等を通知するものとされています。

 

財産評価基本通達は、一般に公表されているものであり、

1(評価の原則)の(2)「時価の意義」には、以下のとおり記されています。

 

財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

 

つまり、この通達どおりに評価すればよいですよ、と書いてあるように見えます。

 

ですから、通達どおりに評価されたものを、本来、課税庁が否定することはおかしいのです。

財産評価基本通達は、国税庁長官国税局長に宛てた内部命令です。

これを否定するということは、その都度、おのれの都合のいいようにルールを作ることができてしまう、ということでしょうか。

 

伝家の宝刀とかいう言葉に惑わされてしまいますが、この法治国家日本において、そんなことが認められてよいのでしょうか。

 

課税という、国家システムにおける最強の公権力を有する権力者が、独裁的な公権力を行使していると言われても仕方がないのではないか、と思うのです。

 

少々言葉が過ぎました。

次回からは、個人的な感情は控えめにして、事件を客観的になぞっていきたいと思います。

 

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