不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

2021-01-01から1年間の記事一覧

一棟貸しのロードサイド店舗の賃料2

さて、ロードサイド店舗の出店方法です。 前回お話しした「事業用定期借地」を活用して出店する方法がひとつ。 この場合だと、「土地」の賃貸借ということになります。 次に、地主さんに建物まで建ててもらって、「建物」を借りて出店する方法もあります。 …

一棟貸しのロードサイド店舗の賃料1

今回は、不動産の評価に関するお話を。 専門家が専門のお話をすると、たいていの場合マニアック過ぎて、誰もついてきてくれなくなるので、できる限り嚙み砕いて。 よく、幹線道路沿いに、ドラッグストアとか牛丼屋さんとかコンビニとか、とにかく広い敷地に…

配偶者居住権という相続財産

令和2年4月1日から適用されております改正民法の中で新しく創設された権利が「配偶者居住権」というものです。 そもそも、民法で法定相続分などというものがあるので、たとえば自宅の家のほかに財産のないお父様が亡くなって、同居していたお母様と、既に家…

過酷な職業 税理士の善管注意義務

以前より、税理士さんのお仕事は多岐にわたり、損害賠償請求に直結する点で過酷であると申し上げてまいりましたが、こんなことで訴えられるのか、という恐ろしい事例をご紹介します。 事件番号:平10(ネ)23号 平成10年11月9日 東京高裁の判決です。 詳細は…

不動産の贈与と負担付き贈与の税務

前回は、不動産鑑定評価の最もシンプルな活用方法として、相続税の申告をご紹介しましたが、実務では、相続が始まる前、つまり相続対策として不動産鑑定評価を活用していただくことの方が多いです。 相続が始まってから不動産鑑定評価を活用する場合というの…

活用事例 宅地の取得費がわからない場合

どんなときに不動産鑑定士さんに仕事をお願いするの、と聞かれて、お客様が最も関心を持ってくれるのが、このテーマです。 土地を売ると、売った金額に税金がかかるのではなく、「譲渡所得」に対して税金がかかります。 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得…

相談案件 立退料の算定

建物の賃借人の方からのご相談でした。 家主から立退きを求められているが、提示された立退料に納得がいかないので、立退料を鑑定評価してほしい、と。 ところが、不動産鑑定士が鑑定評価を行う際のルールブックである不動産鑑定評価基準には、立退料の求め…

評価事例 不動産鑑定評価額で相続税の申告を行う

最もシンプルな不動産鑑定評価の活用事例です。 以前、ボロボロの建物の価格を固定資産税評価額をもとに申告するのが不本意なので、不動産鑑定士の意見をつけた、という事例をご紹介しました。 要するに、不動産の適正価格を誰かに示すために活用されるのが…

財産評価基本通達 土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価

相続税評価のお話です。 財産評価基本通達の中には、土地の減価要因がいろいろ列挙されていますが、平成30年に追加された減価要因が「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」です。 不動産の業界では、レッドゾーンと呼ばれるもので、近年、雨の降り方が…

税理士職業賠償責任保険 事故事例を読む

税理士さんの賠償責任保険の事故事例を読んでみました。 以前から思っておりましたが、税理士さんのお仕事はクライアントのお金に直結しているので、恐ろしいですよね。 もちろん、税理士さんが間違えて、クライアントが怒ったら、損害賠償問題に発展します…

評価事例 リスケジュール

こんな案件で不動産鑑定評価をご活用いただきました、という実例のご紹介です。 賃貸マンションをお持ちのクライアントからのご依頼でした。 築年数が経過していて、空室も目立ってきたのでリフォームをしたいのだが、リフォーム資金が捻出できない。 銀行に…

評価事例 身内に売るわけではなくても

こんな案件で評価させていただきました、という事例をひとつご紹介させていただきます。 不動産の価格を売主と買主の間で好きに決めても、取引自体は成立するのですけど、それでは黙っていない人がいるから、不動産鑑定士の出番があるのだ、という説明を以前…

すごい不動産 アクロス福岡

ビルの壁面に木を植えるって、よく見るとすごいですよね。 福岡市役所に行くたびに見ているので、感覚がマヒしてました。 改めて見るとすごいです、アクロス福岡。 アクロス福岡

中小企業診断士という仲間

以前、不動産鑑定士の認知度が低い、ということを書きました。 仲間を探すわけではないのですが、中小企業診断士という士業も、なかなか認知度が低いのではないでしょうか。 中小企業診断士は、全国に約2.7万人の登録者がおりますが、友達が中小企業診断士、…

相談案件 相続税評価におけるボロボロな建物

以前にも書いたかも知れませんが、不動産鑑定士という職業を理解していただくために大切なことですので、何度も書きますが。 「不動産の経済価値を判断する」のは、なにも不動産鑑定士に限ったことではありません。 不動産にかかわるすべての方が、何らかの…

不動産鑑定評価の報酬と仲介手数料

少しだけ、お金の話をさせてください。 以前、マイホームを買うときに鑑定評価を依頼する方はなかなかいらっしゃらない、 ということを書きました。 でも、そんな方でも、仲介業者さんには、何の疑問もなく仲介手数料を支払っておられます。 仲介手数料とし…

水の上の建物 生活のある風景

確実に川の上です。 個人宅です。 興味深いです。 個人宅1 個人宅2

不動産鑑定士の土木の知識、建物の知識

いちおう不動産鑑定士という職業を認識してくださっている方でも、 不動産鑑定士は土地の価格を決める人、という見方が多いように感じます。 でも、民法86条にも「土地及びその定着物は、不動産とする」と定義されているように、建物も不動産なのです。 ひと…

レトロ不動産 陸軍上西郷航空廠弾薬倉庫

レトロな建物にも心惹かれます。 「廃墟探索地図」というサイトによりますと、昭和18年築の弾薬庫ということです。 33.746447281533165, 130.51022949654018 googleマップの座標値です。 農地の中にたたずむ姿は、教えてもらわないと弾薬庫とは分かりません…

不動産の価格はどのように決まるか2(私の考え)

前回、不動産の価格というのは 「需要と供給」 によって決まっているのだと述べました。 私たちの身の回りにある財の価格は、たいてい需要と供給によって決まっていますので、それほど不思議なことでもないのですが、不動産の価格は特別扱いを受けておりまし…

不動産の価格はどのように決まるか1(私の考え)

スケールの大きなタイトルを掲げてしまいました。 こんなテーマ、分厚い本1冊分でも足りません。 私が考える不動産価格形成理論を、極限まで要約したいと思います。 先日、地価公示が発表されまして、この1年、地価が上がったとか下がったとか、少しだけ話題…

地価公示と相続税路線価

前回、地価公示について書きました。 日々変動する土地価格を定点観測するのが地価公示で、毎年1月1日時点の価格が、3月下旬に発表されます。 7月になりますと、相続税路線価が発表されます。 このときにも、地価が上がったとか下がったとか、新聞に載ります…

令和3年 地価公示が発表されました

土地の価格は日々変動しています。 そこで、年に一度、1月1日時点の土地の価格を定点観測していくのが地価公示です。 例年3月下旬に発表されます。 今年は地価が下落に転じたと報じられました。 でも、あくまで平均変動率です。 ここ福岡県の地価は上昇とい…

水の上の建物 とある町の風景

私、もう、こういう建物を見ると興奮が止まりません。 いちおう、場所とか特定されるとまずいのかな。 九州の、とある町の風景としておきます。 水の上の建物

不動産鑑定士の発信力

不動産鑑定士の認知度が低いのです。 一般の方で、弁護士や税理士という職業を知らない人はいないでしょう。 士業仲間の中で、公認会計士や司法書士という職業を知らない人はいないでしょう。 ところが、たとえば、これから資格を取得しようと意気込んだ学生…

限定価格とは 相続税評価における貸宅地

以前、相続税評価上の底地(貸宅地)の評価はおかしい と申し上げまして、その中で使いました「限定価格」という概念を説明させていただきます。 これは不動産鑑定評価基準に記載されている概念でして、 「限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動…

底地(貸宅地)の価格

最近、借地権とか底地とかのことを書いておりますので、 その流れで、底地の価格について。 底地というのは、借地権が付着している土地の所有権部分のことです。 相続税評価では貸宅地と呼ばれます。 底地=貸宅地。 同じものを指すのに、用語がふたつあると…

借地権と借地権価格

借地権と借地権価格は同義ではありません。 借地権というのは、借地借家法で規定されています。 建物を建てるために土地を借りたら、発生する権利です。 一方、借地権価格というのは、その権利の対価です。 ですから、その権利に経済価値がなければ、発生し…

相談事例 借りている土地を買い取りたいと言ってきた(底地の併合?)

底地の併合などという専門用語を使ってしまいました。 (正確には借地権がありませんので、底地の併合ではありません) 事例のご紹介です。 こんなご相談がありました。 土地の所有者Aさんは、建設業者Bさんに、資材置き場などに使うための土地を貸していま…

任意売却と不動産鑑定士のハンコ

不動産をキャッシュで買える人はなかなかいません。 そんなとき、ローンを組みます。 カタカナで表記すると軽やかな響きですが、要するに「借金」です。 この借金の返済が滞ると、お金を貸している側は、不動産をお金に換えて、貸倒れのないようにします。 …