不動産鑑定士の自由研究

不動産鑑定士という職業の認知度アップに貢献したい

2021-01-01から1年間の記事一覧

家主と地主 という雑誌

家主と地主 私が定期購読している雑誌の紹介です。 賃貸不動産オーナー向け経営情報誌となっていますが、周辺業務を行うプロにとっても有用な情報が満載です。 今回は地主の事業承継が特集されていますが、税理士や弁護士にとって貴重な情報が詰まっています…

気になっているビル

目の錯覚? 掲載を迷ったのですが、以前から気になって仕方ないビルです。 2棟のビルの間をよく見ると、1階部分はぴったりくっついているのに、上階にいくにつれて少しずつ離れていくように見えます。 とりあえず、危険性などはないのでしょうけれども、どち…

活用事例 自社物件のデューデリ

たとえば、自社が保有する不動産を、社内の誰が把握しているでしょうか。 不動産管理部門があるような大企業なら話は別ですが、多くの場合は社長さんが自ら把握しておられるか、もしくは経理部門のお偉いさんが把握されているか、そんな企業さんが多いように…

福岡県不動産市況DI調査という公表資料

不動産鑑定士協会では、公益的な事業も行っています。 その中のひとつが、不動産市況DI調査というものです。 DIというのは景気動向指数のことで、県内の不動産市場のプレイヤーである各企業にアンケートのご協力をお願いし、その結果を集計して発表している…

路線価と特定路線価

資産税が得意ではない税理士さんが、相続税の申告をしました。 資産税が得意な税理士さんが、更正の請求のチャンスを発見して、再度、評価を行いました。 そして私は、ちょっと税務に詳しい不動産鑑定士という立場で、その最終チェックを行っているところで…

不動産鑑定士業界のテーマ あるべき価格か ある価格か 3

では、不動産鑑定士の存在意義は、と言われると、「あるべき価格」を求めることができる点ではないでしょうか。 バブル期、「ある価格」は、その実力を大きく上回りました。 その反省から、不動産鑑定士の業界では、「収益還元法」による実力の測定を行うよ…

不動産鑑定士業界のテーマ あるべき価格か ある価格か 2

前回は、不動産鑑定士がつける公示地価が、特に地価上昇局面において、市場における実勢価格を反映していないのではないか、という意見があるということについて、現状をご紹介しました。 ここからは私見になります。 そもそも、不動産市場というのは、情報…

不動産鑑定士業界のテーマ あるべき価格か ある価格か 1

不動産鑑定士の業界内でたびたび議論されるテーマです。 ある価格、すなわち市場に顕在化している価格 あるべき価格、すなわちその不動産が持っている実力相応の価格 不動産鑑定士が発する価格として、どちらが正しいのか。 いちおう今は、ある価格派が主流…

こんな顧問税理士はイヤだ というyoutube

こんな顧問税理士はイヤだ 最近、士業の先生もyoutubeを活用されることが多くなりました。 私は、移動中などの時間に専門家の先生のyoutubeをよく見ています。 (車で移動することが多いので、見るより聴くことのほうが多いです) 傾向としましては、税理士…

裁決事例を読む 不動産鑑定評価額で相続税を申告したケース

裁決事例を読んでおりますと、不動産鑑定評価額で相続財産の評価額を求めて、相続税を申告したケースで、納税者側である相続人が、原処分庁である国税庁の主張に負ける場合、裁決理由として、 ○評価通達等による難い特別な事情が認められない という理由だけ…

相続税路線価が発表されました

例年7月1日は、相続税路線価が発表される日です。 今年も例年通り、発表されましたが、大して話題になりませんでした。 相続税路線価は、国税庁のホームページで確認することができるのですが、毎年7月1日にはアクセスが集中して、なかなかつながらなかった…

評価事例 空室だらけの賃貸マンション

質問です。 ①満室稼働の賃貸マンション ②空室だらけでスカスカの賃貸マンション があるとしたら、どちらが欲しいですか。 賃貸マンションなんですから、満室稼働がいいですよね。 当然、満室の方が価値が高いと思いますよね。 ところが、この価値観が逆転す…

中古戸建住宅市場について思うこと

中古の戸建住宅市場について思うことを書きたいと思います。 私は中古戸建を買って住んでおります。 なぜかというと、補助者時代の薄給のころで、新築が買えなかったからです。 しかしながら、今の家にはたいへん満足しております。 日本の住宅事情と言いま…

敷金の運用利回り2

前回、不動産鑑定評価においては、敷金や礼金も考慮して、収益価格を求めます、というお話をしました。 たとえば敷金だと、預かったままではなく、これを運用して得られる運用益を、当該不動産の収益にプラスします。 つまり、お金がお金を生む、という、資…

敷金の運用利回り1

できるだけ分かりやすいテーマを取り上げるように心掛けているのですが、不動産鑑定士という人種は、実はこんなこともきちんと考えています、というお話をさせていただきたいと思います。 きわめてマニアックな業界雑誌で「Evaluation」というものが発行され…

福岡の住宅団地事情

評価をするうえで必要になり、福岡都市圏の住宅団地について調べておりますと、国土交通省が「全国のニュータウンリスト」というものを発表していましたので、ご紹介したいと思います。 開発面積16ヘクタール以上のものしか載っておりませんが、それでもたい…

土地の立体利用 擁壁は土地に化体する

とある分譲地 地球規模でみると、ほんの小さな高低差でも、家を建てるとなると大掛かりな造成工事が必要になります。 立派な擁壁です。 擁壁工にはもちろん費用が掛かります。 そして、擁壁は宅地を形成するために土地と一体になっていますので、評価上は土…

不動産マニア 立派な橋

戸建住宅には立派すぎる橋 ずいぶん立派な橋が架かっていますが、その先には戸建住宅が1戸。 ですから、橋の上も、この住宅の居住者が独占的に使える、という意味では、少し土地を得した気分になるかも知れませんが、万が一、この川があふれて橋が使えなくな…

その不動産評価もっと安くなるかも(市場性修正)

前回、心理的瑕疵のある物件を評価するにあたって、競売評価では市場性修正という減価を行うと書きました。 これは、不動産の経済価値に対するアプローチとして、費用面からアプローチした積算価格を求めるうえで、単純に 土地価格+建物価格=複合不動産の…

宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)について

国土交通省がパブリックコメントを募集しています。 「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」という、なんとも長い名前のガイドラインです。 要するに、「事故物件」のことです。 不動産業者が「買主」または「借主…

更地とは 不動産鑑定士試験より

「更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない土地をいう」 〇か×か。 ずいぶん前の不動産鑑定士試験に出た問題を、ふと思い出しました。 答えは×。 ひっかけ問題ですね。 正解は 「建物等の定着物がなく、かつ、使用収…

相続税評価 宅地の評価単位

土地の評価単位についての考察です。 不動産鑑定評価において、どこまでの範囲をひとつの物件として評価するのか、という規定は、特にありません。 これは、鑑定評価の依頼目的に合致させる必要があるためと思います。 事業の継続を前提として事業用不動産を…

評価事例 遺産分割協議の参考として

遺産分割のお話し合いの真っ只中におられる代理人弁護士さんからのご依頼です。 主な相続財産は、不動産がふたつ。 相続人は(熟年の)お子さまがふたり。 ひとつが自宅で、ひとつがアパート。 あまり具体的なことは言えませんが、相続人のうちのひとりが自…

日本で最も地価が高いところ 銀座

日本で最も地価が高いところは銀座の「山野楽器」ということになっているようです。 私は銀座に行ったことがないんですけど、毎年、3月末ごろになりますと、国土交通省から地価公示の結果が発表されまして、そのなかで最も高値をつけるのが「中央5-22」とい…

配偶者居住権の価格の評価3

前回は、配偶者居住権の価格を求める場合、その場面によって求め方が異なり、相続税の申告にあたっては、相続税評価額でよいけれども、遺産分割協議などの「時価」が求められる場合には、相続税評価額では事足りない、というお話でした。 そこで、配偶者居住…

配偶者居住権の価格の評価2

実は、期間限定で、不動産鑑定士協会連合会のホームページで 「配偶者居住権等の鑑定評価に関する研究報告」 というものが、一般の方でも閲覧できるようになっておりますので、ご興味がございましたら、ぜひご一読いただければと思います。 さて、相続税の申…

配偶者居住権の価格の評価1

まだ実務でやらせてもらったことはないんですけど、「配偶者居住権」の価格または「配偶者居住権が付着した建物及びその敷地」の価格を求めてください、というご依頼があった場合に備えて勉強中です。 相続に関連して不動産鑑定評価をご依頼いただく場合とし…

活用事例 M&Aに伴う不動産の評価

M&Aに伴いまして、保有不動産の評価をさせていただく機会がございます。 たいていの場合、会社の帳簿に載っている不動産の簿価と、時価との間には、大きな隔たりがあるものです。 M&Aを行うにあたって、会社の純資産を把握する必要があるでしょうから、わ…

不動産鑑定士の弱点

不動産鑑定士の仕事は、 「不動産の価格を求めること」ではなく、 「その価格が適正であることを誰かに示すこと」であると、 以前より主張しておりますが、もちろん専門家ですので、不動産の適正価格を求めることはできます。 それは不動産鑑定士が出せる価…

一棟貸しのロードサイド店舗の賃料3

話が逸れてしまいました。 賃料のお話です。 前回は、ロードサイド店舗の出店には、 ①「土地」を借りて、建物を建てる場合 ②地主さんに建物を建ててもらって、「建物」を借りる場合 がある、というお話でした。 そこで、それぞれの賃料はどうやって決まるの…